9.地元産材の注意点

9-1 間伐材について

 間伐材のほとんどは、20年から30年生の小径木で、 中心の20年分は不安定な性質のため、構造材としては不向きです。
 遍材部分(白い部分)が多いため、外部に使用した場合は腐れもはやいようです。
 造作や仕上げ材として使用する場合も、ソリや狂い、割れ、節目などが 入ることを十分理解しておかなければなりません。
 ただし、杉の持つ特性は変わらないので、

1. 長さの設定は自由に出来る
2. 木目の美しさがある
3. 暖かさ、手触りのよさ
4. 結露がしにくい
5. 木の柔らかさがある

 等の長所を活かす工夫ができれば、十分使う価値があると思います。

 また、加圧防腐注入などの施術により、3倍の耐久性を持たせ、 外部の杭などに使えるようになります。(長岡地域森林組合で可能)

9-2 乾燥について

 無垢材は十分乾燥させて使用しなければなりません。
 生木の場合は十分に水分が含まれているので変形は起こりませんが、 含水率が30%以下になると、割れやソリといった現象が起こってきます。
 日本の気候では平均で含水率が18%でほぼ安定します。
 にいがたスギブランド材を使った場合は含水率が20%以下に抑えられます。

 人工乾燥などで含水率が15%以下に乾燥しすぎた材料を使った場合、 逆に空気中の水分を吸収して18%まで戻ろうとします。その結果、内部応力が生じて変形、割れが入る可能性もあります。
 床暖房やFFヒーターを使って湿度が低くなった場合も、ヒビや割れといった現象が起こります。
 木材のもつ調湿機能故の欠点であり、それが無垢材の長所でもあります。

9-3 供給量について

 大量に在庫をかかえられない、また在庫がない状況なので、大量に発注する場合は、その供給量に注意が必要です。
 長岡周辺で伐採、収拾運搬ができる業者は数えるくらいなので、供給量に限界があります。 また、伐採を承諾する山林所有者の保有量や地形、搬出経路も考慮しなければなりません。
 森林組合や集材業者等と協議する必要があります。
 供給量が不足する場合は、新潟木材共販市場等を利用して、県産材若しくは国産材の使用も考慮すべきでしょう。

9-4 発注時期について

 森林の伐採時期は秋から冬にかけて、木が水を吸い上げなくなった時期で、 夏に伐採した場合は水分が多く含まれ、カビの恐れがあります。
 天然乾燥する場合でも人工乾燥する場合でも、夏場は避けたほうがよいでしょう。

 天然乾燥する場合は、春までに伐採し、大割にして秋まで放置して乾燥させ、冬場に加工できるように製材します。
 人工乾燥の場合は、夏場の伐採時期を避ければ、生木のまま窯に入れて乾燥できるので、 地元産材の供給が困難な場合、新潟木材共販市場等で県産材若しくは国産材を購入し、乾燥させれば、通年で入手が可能です。

9-5 伐採後の計画と事後報告、調査

 伐採後の山林をどう利用するのか所有者が決める必要があります。
 水土保全林として育林するのか、資源循環林として育林するかで、 再造林の方法が異なるので、所有者が選択し、造林計画を作成します。
 特に水土保全林として選択した場合(資源循環林の場合も同様)は、 的確な手入れが行われなければ、土砂災害等の危険性があるので、その後の経過や実態の報告、調査を行う必要があります。



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