育林、伐採、造林の経費を考慮して、継続可能な木材価格を設定する必要があります。
原木丸太については、再造林経費を上乗せできれば、意欲の出る所有者も出てくると思われます。
では、どのくらいの再造林経費がかかるか。1ha(100m×100m)で検討してみます。(平均値)
育てる 70年間 |
伐採 1000石 |
植栽保育 10年間 |
70年まで管理 10〜70年間 |
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植栽3000本 | 伐倒300本 | 植栽 | 除抜・間伐 |
保育 | 集積・運搬・はい積 | 保育10年間 | 育林70年間 |
465万円 | 220万円 | 140万円 | 70万円 |
A | B | C | D |
1)Bの時点で、1000石=400万円の収入があるとします。(現在の流通価格を適用した場合)
2)Aの今までの育林経費を考えると、既に65万円の赤字(400万円−A)となっていますが、 更に、伐採、運搬で220万円の経費がかかり、285万円の赤字となります。(400万円−A-B)
3)少なくとも、Bの時点で、685万円で売れなければ、赤字となります。
4)通常、会社としては15%〜20%の利益は見込みたいので、
が、手元に残ります。
5)更に、これから植林し、保育しようとすると、Cの140万円が必要となります。
結局、手元に残るのは、40万円となります。
6)一方、現在までかかった経費を全く考えないで、これから伐採、育林した場合、
7)これに、利益15%〜20%を見込むと、
8)1ha分の立木(300本)が600万円、石当り、6000円で売れれば、今後の収益につながります。
(いままでの育林費用を全く考えなかった場合です)
9)すなわち、流通価格(4000円/石)に2000円/石を上乗せすればいいことになります。
伐採後、確実に植林されるために、価格の上乗せ分(2000円/石)を、どの時点で発生させるかを検討してみます。
立ち木売りの状態では、山主に直接入るわけですが、植林の保証はしにくいと思われます。P> 山林から切り出され、流通に沿った中の何処かで上乗せをして、その業者が責任を持って森林所有者と伐採契約、植林義務を明示し、植林義務を遂行するシステムをつくる必要があります。(できなかった場合には業者に補助金の返還を求めることとする。)
材料をそろえる業者(受注者)が責任を持って、地域に接し、交渉し、再造林の確認をとり、木材の生産をスムーズに行います。
また、確実に伐採現場とその場所の造林を確認するために、伐採・再造林承諾書の提出の義務付けを行います。
さらに、第3者(NPO等)へ委託しその伐採現場の確認と、再造林の確認を行います(再造林証明書の発行)。伐採・再造林が行われない場合には、補助金の返還を受注者に求めることとします。
その後、森林所有者が再造林を行い保育していきます。
自力で植林・保育を行っても、森林組合へ委託しても市の植林・保育の上乗せ補助制度の申請行為(再造林証明書を提示して)を行い、利用できるように整備していきます。