5-1. 森林面積
新潟県の民有林の面積は全国第7位、民有林スギ蓄積量は全国第2位で、新潟大学農学部の研究では、林道沿い200mの山林で新潟県の木材需要をまかなえるとのことです。(今後、需要が60%になったと仮定した場合)
長岡周辺地域にも長岡の木材を十分まかなえる量があります。
この地域で保有している資源量を示します。
5-2. 山林の現状
豊富な資源を保有している山林ですが、地域産材がなかなか流通していない現状があります。
現在の山林の問題点をまとめました。
○ ブランクが故の整備不足〜コストがかかる
・ 計画性の無い植林。山奥にも杉林。
・ 林道の整備が行き届かない
○ 伐採しても林道まで運ぶのに困難〜コストがかかる
・ 林道沿い(特に山の麓の部分)が分筆され、細分化して奥の土地から運び出すのに、運搬経路の地主の承諾が必要。
○ 高齢化していて山の整備が出来ない〜コストがかかる
・ 下刈りにも手が回らない。
・ 人手を頼むので、経費がかさむ。
・ 若手が後を継がないので、さらに高齢化が進む
○ 切出しても売れない〜価格の低迷
・ 和風建築が減り、需要が減った。
・ 輸入木材に押されて、価格が上げられない。
・ 切っても植林できない。
・ 収入が無いので、手入れが出来ない。
「切る木はあるが、切る気がおきない」というのが実情です。
1ha(100m×100m)の70年生の森林の保育経費(投資)
新植 | 雪起し | 下刈 | 除伐 | 枝打ち | 間伐 | トータル保育経費 |
---|---|---|---|---|---|---|
1,251,030 | 1,034,950 | 1,280,000 | 302,000 | 317,240 | 460,000 | 4,645,220 |
2500本植 | 10年・50% | 10回 | 2回 | 2回 | 4回 |
70年間森林を育成するために少なくとも464万円経費をかけています。(現時点での物価で考えた場合)
1000石/1haを立木売りした場合
(径25センチ前後の丸太の流通価格を4000円/石で計算すると)
1000石/ha×4000円/石=400万円/ha
立木売り払い価格 400万円/ha
森林所有者立木売り払い収入 | 搬出経費 |
---|---|
1,800,000円 | 2,200,000円 |
(搬出経費は伐採して林道まで運搬した場合)
立木が400万円で売れたとしても育林に464万円をかけているので、64万円の赤字になります。
また、これから、植林して育林していく場合は補助金を使っていくと213万円が個人負担となります。(初期保育の10年間は140万円、それ以後は10〜70年間で73万円、計213万円)
いままで育林にかかった費用を考えずに、売れた時点で森林所有者に180万円/ha の収入がありますが、再造林した場合は(補助金等を使って初期保育の10年間)140万円/ha かかるので、手元に残るのは40万円のみ。(さらに70年まで育林した場合は73万円かかるので、33万円の赤字となります。)
少なくもと、立木が433万円/ha で売れないと赤字になるし、それは今までの経費を全く考えない場合です。
100年生くらいになって、径が太くなれば価値も上がります。(30センチ以上で8000円/石以上)しかし、それまでの手入れも必要です。
昔は一山売れば家が建つほど収入があったそうですが、現在は車を買うどころか赤字になってしまうようです。
経費はすべて造林補助事業標準単価表による。現在の材価は新潟県木材共販市場(H14・7)による