1 はじめに

 日本は温帯雨林気候で、雨が多く降り、温暖なので草や木が良く育つ環境で、空き地を半年も放っておくと、草が繁っていっぱいになり、雑木まで生えてきてしまいます。
 ところが、このような気候の場所は世界的に見ても稀で、乾燥した土地では、1年経っても草も生えてこない、生えづらい所もあります。

 ヨーロッパは「石」の文化と言われています。耐久性のある石で建造した構造物が、何千年と残っていますが、日本の場合は、「木」の文化であり、古来から、この風土で豊富に育つ木を活かした文化が根付いています。
 法隆寺に代表される木造寺院は、何百年かに一度、木材で建て直され、リニューアルされることで、その構造物を残してきました。
 木材自体の耐久年数は、石に比べてはるかに短いのですが、豊富に揃えられる材料で新しく作り直せばいいわけで、設計図と職人の技術さえあれば、何回でも再現できるのです。
 また、使い終わった材料も、別の用途に使う知恵もありました。

 ヨーロッパ圏が「ストック」する文化なのに対し、日本は「リサイクル」する文化が根付いています。
 近年、山の木が使われなくなり、地元木材の流通が滞っている。そして、山が荒れている事態となっています。
 日本の古来からの文化が途絶えようとしています。
 ここでは、日本の山林の伝統文化を紹介すると共に、なぜそのような危機的状況になったのか、どうすれば失いつつある文化を継承できるかを考えていきましょう。

明治時代の伐採の風景



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